3月4日(日)
DAY58
終日航海
≪ビーグル号航海記 その1≫
朝、6時起床、ウォーキング。気温は高く(27℃)曇り、日の出は6:30ころ。9階スポーツデッキの途中で太陽を見る。いつもながら、晴れていれば、日の出前後の数十分は、南の海を舞台に刻々と変化してゆくドラマが見られる。今日は、雲の隙間から光が差してきた。船は真西に向かっているから、船尾からだ。
シャワー・朝食の後、今日から、シドニーで差し入れてもらった「ビーグル号航海記」を読み始める。文庫版でも上中下3冊で800ページ近く。おまけに、内容たるや、細々と航海中の記録が続く。これまで何十年も前から読もうと思っていても、なかなか読めないでいたものだ。こんな時間が有り余る生活の時しか読めない。おまけに、今回は、これまでの航海で、至る所でビーグル号の名に遭遇してきた。
今日はその1回目と言うことで、概要と、今日読み進めたところまでかいつまんで書いてみる。
元々この本は、“Journal of Researches into the Geology and Natural History of the Various Countries visited voyage on H.M.S. Beagle round the World” という、Charles Darwinにより書かれた本の翻訳である。訳すと「軍艦ビーグル号世界就航中歴訪諸国の博物学及び地質学の研究日記」となっている。
ビーグル号の模型は、この前、ウシュアイアの海事博物館にあったので改めて写真を載せるが、3本マストの帆船である。1820年に建造された、英国海軍のビーグル号の3代目の船で、235トン、全長90フィート(約30m)という、とても小さい船である。時速9ノットで走行する(ちなみに、今乗っているこの船は、6万2千トン、780フィート(240m)、時速30ノット)。帆船の写真で、全長30mを想像してほしい。いかに小さいか!
この船が、測量(地図・海図作り)の使命を帯びて航海に出るときに、艦長が博物学者を乗せていこうということになり、その時、ケンブリッジ大学を卒業する年のダーウィンが乗り込むことになったとある。1831年12月27日、イギリスのプリマス近くのダベンポート港を出港した。
大西洋を南下し、アフリカ沖の、カーボベルデ諸島(1/16)、セントポール岩礁(2/16)、ノロニャ諸島(2/20)を経て、ブラジルのサルバドルに到着(2/29)、その後、リオデジャネイロ(4/4〜7/15)、モンテビデオ(7/26)と上陸する。測量しながらとはいえ、ここまでで半年以上かかっている。
観測内容は、地質学、動物学(哺乳類、鳥類、魚類、昆虫、節足動物、原生動物・・・)、植物学、気象学、また、上陸地での旅の途中の風俗まで、事細かに述べられており、脱帽である。優秀であったから抜擢されたとはいえ、大学を卒業したばかりの「学者の卵」によくもまあこんなに知識と観察力があるものだと感心の一言。(本日はここまで)
さて、昼食の後、20分ジョギング。右舷に島が見えている。「アジアだ!」インドネシアのティモール島。いよいよ、アジアに入った。海もまた蒼くなっている。
今日の夕食は、Formalの日。なんとなく面倒なのだが、服を着替えるだけのこと。ドレスコードにはこういう風に書いている。
・For ladies, gowns, cocktail dress or elegant pant suit are appropriate.
・For gentlemen, Tuxedo, dark suit and tie, or jacket and tie.
・Cultural formal wear such as(long-sleeved for men) Asian style formal wear or suitable(long-sleeved for men) Theme Night wear is also acceptable.
これを見る限りでは、ジャケットにネクタイもOKということで、最初の1回目はともかく、最近は男は、普通のスーツにネクタイ、ジャケットとスラックスにネクタイの姿も見かけるようになっている。これくらいなら、そんなにドレスコードを意識しなくても、仕事をしていたときの格好でいいのだということになり、少しイメージが変わった。女性の方も、「普通の服じゃん」という感じの方も多数おられます。
今日のテーマは、「Chefs Dinner」で、白と黒のデザイン。
さて、何を食べるかというと、普段と変わりないのだが、参考に。
前菜は、エスカルゴ・ブルギニョン、エスカルゴを焼いたもの。スープは焼きマッシュルームのスープ。そしてメインはBrolled Lobster Tailとかいう、ロブスターを焼いたもの。そしてデザートとコーヒー。
食事を終え、部屋に戻り、礼服を脱いで気軽になり、寝る支度。外を見ると、ティモール島がすぐ近くに見えている。アジアだ!
14556歩