3月7日(水)
DAY61
終日航海
≪ビーグル号航海記 その2 位置測定とGPS≫
インドネシア訪問は、少しあっけないがこれで終わり。船は、ジャワ島とボルネオ島(カリマンタン)の間のジャワ海を通り北上。ボルネオ沖で赤道を通過し、南半球ともこれでお別れ。明日くらいか。
朝6時起床、日の出は6時38分。雲の中から太陽が昇って一日の始まり。右舷に島影が見えたが、スラバヤ沖のバウェアン島か。インドネシアの真ん中なので、海を行き交う船も見える。日課通りに朝食まで。
その後、昨日の記録整理とWebのアップ。その後、ビーグル号航海記の続き。
ビーグル号航海記のはじめの部分に航海の目的として、「チリーやペルーの海岸、その他太平洋中の諸島を測量し、世界を一周して時辰儀(クロノメーター)の測定の連鎖を行うにあった。」と書かれている。この後半の部分の意味は何か?
広辞苑によると、クロノメーターとは、「温度変化などの影響がきわめて少なく、正確な携帯用ぜんまい時計。天文観測・経度測定などに用いる。時辰儀。経線儀。」とある。
そうか、ビーグル号のもう一つの任務は、正確な時計をもちいて経度測定を行うこと、逆のいいかたをすれば、世界一周して経度を測定することにより時計の正確さを検証することにあったのか。と納得。
さて、このビーグル号の頃は、海上でどのように位置を測定していたのか。
緯度の方は、太陽なり星の高度を測定することにより、わかる。極端に言えば、天の北極(北極星の近くにある)が真上にあれば北緯90°、水平線上にあれば0°、その途中は、(90°−天頂からの角度)が緯度である。角度の測定さえできれば、どこでも観測できる。ただし、北を知るために正確な磁石なり他の手段が必要になるのだが。
一方、経度の方は大変である。西に移動すれば日の出は遅れ、東に移動すれば日の出は早くなる。経度15°につき1時間。これを使うと経度を測定できる。ところが、日の出の時刻は緯度によっても変わるので、その代わりに、太陽の南中時刻(北中時刻)を使えばよい。同じ事は、昼の太陽の代わりに夜の星を観測してもいえる。経度の標準は、イギリスのグリニッジを通る経線で、これが0°である。これと比べて、何時間早い(遅い)かわかると、その土地の経度がわかる。(例えば、4時間早ければ、15×4=60だから、東経60度)そのためには、標準的な時計(世界標準時GMT=Greenwich Mean Time:グリニッジ標準時にあわせた)を使って、何時に太陽が南中(北中)したかを測定すればよいが、この時計がクロノメーターである。ビーグル号は、この時計による経度観測をおこない、時計の精度を調べたのだろう。
ということで、磁石と時計は、航海の必需品であったわけだ。何の目印もない大洋中にあって、位置を知ることは、大変なことであった。天文学も、このような需要に応えて発達した、「実学」だったのだろう。
現代では、GPS(Global Positioning System)が簡単にこれに答えてくれる。私の持っている、数万円のGPSでさえ、簡単に緯度と経度を測定できる。それも、誤差数メートルで。
陸上では、目印になるものが周りにあるが、全くそれがない大洋や空中でこそ、GPSがその真価を発揮する。こうしてみると、この発明の価値がわかるというものだ。
すぐ昼になり、今日は、Udon Soupなるものがメニューに出ていたので、Sushiとこれにする。腰のないふにゃふにゃ麺だが汁は、それなりの味がする。Sushiの方は、マグロの刺身とガリは何とか、しかし、あとは・・・と、香港に行ったら、まともなのを食べるぞ−という動機付けにはなった。
海は静かで、「鏡のよう」。水深のせいか、水質のせいか、水が緑色に見える。
午後に20分ほどジョギング。そしてプール。天気がいいせいか、けっこう混んでいて泳ぐどころではなく、体を冷やしただけ。日差しは強烈で、甲羅干しなんかしたら、また、日焼けで皮膚がぼろぼろになること必死なので、撤退。
部屋に戻り、映画鑑賞にする。
夕食は、前菜、ハンガリーシチュー、coq au vin(鶏肉ワイン煮込み)、フルーツ
14951歩