2月4日(土)
DAY30
プンタアレナス(チリ)上陸
≪風の街プンタアレナスを歩く≫
明け方には、プンタアレナス沖に停泊していた。今日は、夕方まで時間があるので、7時に起きて、1時間歩く。天気はよいが風が強い。昨日のウシュアイワと違って、丘の手前に街がある、のどかな光景だ。虹も出現した。
朝食の後、支度をして、9時すぎ出発。テンダーボートで上陸するのだが、風が強く、小舟は波にもまれて大きく揺れている。10分ほどで船着き場。チリは税関申告書が必要で、申告用紙に名前などの事項を打ち出した書類が前日に配られていたので、4カ所のNoにチェックを入れてサインをすれば終わり。ただ、農作物は持ち込めず、オレンジが没収となった。
上陸すると、風が強く、『風の街プンタアレナス』とでも呼べそうだ。街の中心のアルマス広場までは歩いても10分ほど。整然と道路が通り、交差点には道路名がきちんと表示されているので、とても歩きやすい。人口11万人ほどの、チリ南部パタゴニア地方南部の中心で、マゼラン海峡(現地の呼び名はマガジャネス海峡)に面した港町であり、チリのマガジャネス州の州都である。
銀行を探し、チリペソ($と表記している)を入手しようと、3カ所ATMに行くがだめ。4カ所目(チリ銀行)にお金をおろせた。原因不明。4万ペソおろす。こちらに来て、いろいろな通貨を使っているので、ちょっと混乱してくる。ブラジルリアルもアルゼンチンペソもチリペソも表示は$、アルゼンチンペソは1US$=4.3ペソ だから、1US$=80円として、1ペソ≒18円、ざっと20円くらいとみて、100ペソなら2000円というのがおおざっぱなつかみ方。
チリペソは、1US$ =510チリペソ、すると、1ペソ=0.15円、100ペソが15円、1000ペソが150円、10000ペソが1500円という具合。4万ペソといっても、6000円くらいなのだ。支払いすると、高いのだか安いのだか、混乱してくる。たとえば、マゼラン博物館の入場料1000$でこれは150円、スーパーで買った箱入りワイン1.5リットル入り2000$だから300円、タクシーで4kmほど離れた所に行くと2000$だから300円、パタゴニアの地図入りの本が3500$だから500円、昼ご飯、鶏肉と何かの揚げ物、ポテトで2300$だから350円というぐあい。
せっかく覚えた、スペイン語の数も桁が一挙に上がって、一つ一つ確かめながら買い物。
それはさておき、強風の中を歩き着いたアルマス広場は、巨大なマゼラン(マガジャネス)の像の周りに、土産物の露店が並び、いかにも観光地。マゼランは大砲を足で踏ん張り立っている。その下に、先住民の2人がおり、いかにも「征服者」と行った趣。昨日のウシュアイアでも見たのだが、この地には、アジアから北アメリカを経由して、また南太平洋の島々を経由して来た先住民たちが生活していたのだ。それを「大航海時代」のヨーロッパ人、特に南アメリカでは、スペイン人・ポルトガル人が「征服し」今日の姿の元を作っている。パタゴニアやフエゴ島に済んでいた先住民の生活がどの博物館にも紹介されているが、「石器時代」の姿である。そこに鉄砲や大砲を持ったヨーロッパ人が船で押し寄せたのでは、戦いにもならない。「征服者」である。日本の幕末の黒船どころの違いではないのである。
この地の博物館を巡っていると、何かそういうもの悲しさを感じる。時代は遷り、南米の各国は独立し、現在世界史に影響を与える動きが始まっているとはいえ、その始まりはこういうことであった。
アルマス広場隣のマゼラン博物館は、時の富豪が作った家をそのまま博物館にしている。その当時のハイレベルの生活ぶりがそのまま残されて展示されている。奥の方は、『征服時代』の展示。先住民の生活、ヨーロッパ人の到来、マゼラン海峡の発見、港町プンタアレナスの発展、という具合である。
プンタアレナスは、坂だらけの街である。港町の多くで見られるが、海に平行して通りが坂の上にできていく。しばらく坂を登ると、クロスの丘の展望台。街と港がよく見える。
その後、サレシアノ博物館(2000$)へ。ここは、サレジオ会の宣教師により造られた教会に付属する博物館。歴史・自然・民俗などの資料が展示されている。
それから、タクシーで4kmほど離れたパタゴニア博物館へ。ここは、屋外展示だが、いろいろな車両、道具、建物がありおもしろい。映画の古い映写機の提示場で、黒澤明の羅生門のポスターを発見した。黒澤は偉大な監督だったのだ。
となりがソナ・フランカという、免税ショッピングセンターになっていて、ここのフードコートで昼食。地図とカップを買った後、街にタクシーで戻る。郵便局は土曜日で午後は休み。スーパーで買い物をしてから、船に戻る。波止場の売店で先住民の仮面を買う。今回初のお土産らしい買い物。30US$。4時半を過ぎており、すぐに夕食。
白身魚のソテーを食べた。
使った通貨 30000ペソ(≒4500円)
30US$ (≒2400円)
26797歩