大黒天ジオサイト

蔵王火山が繰り返した活発な火山活動
(大地のダイナミズム)

ここ大黒天では、約100万年前に始まった蔵王火山の活動のうち、初期の水中火山活動(ステージⅠ)で形成された噴出物が、その後の噴出物で覆われている様子を一望できます。
これは、蔵王火山が活発な火山活動を繰り返してきた証拠といえます。

ロバの耳岩

ロバの耳のようなこの岩体は、水中での噴火で形成されました。
枕状溶岩を含む火砕岩がその証拠です。
これは蔵王山最古の活動の痕跡で、蔵王火山に先行する噴火でできた巨大なカルデラ湖の湖底から噴出したものと推定されています。

白色に変質した溶岩

この噴出物は、約100万年前に地下で形成された岩脈-岩床複合岩体です。
白色に変色した地層は、マグマ由来の熱水によって変質を受けたものです。

五色岳(東側斜面)

 五色岳は、約2000年前から噴火を繰り返し、降り積もった噴出物が縞々模様の地層を形成しながら成長しました。
 有史の噴火記録として、西暦1200年頃からのものが多数残されています。
 全て御釜を火口とするものです。

大黒様と弘法大師

 大黒天には、大黒様と弘法大師の石像が並んで安置されています。大黒様像は、江戸時代に商売繁盛を祈願して設置され、「大黒天」の呼び名の元になりました。
 一方、弘法大師像は、この場所が大黒天と呼ばれるはるか以前(年代は不詳)からあったとされており、参詣の要所として「浄土口」と呼ばれながら、御山詣りを行う参拝者を迎えてきました。

アサギマダラとヨツバヒヨドリ

 アサギマダラは、冬の間を南西諸島で過ごし、夏に日本列島を北上して東北地方にも姿を見せる長距離飛行「渡り」を行う蝶です。
 大黒天から刈田岳に至る登山道沿いでは、アサギマダラが好んで吸蜜する花を咲かせる植物「ヨツバヒヨドリ」が、登山道の両脇に群生しており、毎年7月頃になるとアサギマダラが乱舞し、私たちの目を楽しませてくれます。
 新撰組の羽織の色でもお馴染みのアサギ色。アサギマダラは、ヨツバヒヨドリの花蜜が大好物です。