はじめに
2019年11月に、ニューカレドニアを訪ねました。やっとのことでホテル到着【ニューカレドニアの旅1】 2019年11月17日
このニューカレドニアというところ、日本から約7000㎞離れた、南太平洋の島で、フランスの一部になっている島々です。したがって、公用語はフランス語。
この国には、これまでいろいろないきさつがありました。そもそも、今からちょうど50年前、高校を卒業し、大学の入試に合格したので、入学までの3週間ほど、突然の「自由」が手に入ったのです。区立図書館に通って受験勉強をしていましたので、その惰性で、この自由な期間にいろいろな本を読みました。その中に、森村桂の「天国に一番近い島」があったのです。入試で地理をとっていたので、ニューカレドニアがニッケルの産出地だということで名前は知っていましたが、そこに住む人の暮らしをつづった本はとても印象に残りました。
その島に行くチャンスが突然起こったのは、2012年に行った世界一周クルーズの寄港予定地に入っていました。ところが、嵐のため航海の予定が変更になり、行きそびれてしまったのです。さらにその1年半後、シドニーからバンクーバーまでの船旅をしました。しかし、この時もサイクロンのため寄港地が変更になり行きそびれてしまいました。二度にわたり予定外の嵐にために行きそびれたので、何か因縁を感じていました。
この秋、ちょうど10日ほど、予定がぽっかり空いてしまいましたので、よしこの機会に、と、行くことになりました。。
航空機とホテル、その送迎がついた個人旅行のツアーです。フライトに間に合うように前日に成田に移動、飛行機は成田を12時20分発、約8時間少しのフライトです。ニューカレドニアは日本と―2時間の時差があるので、到着は22時55分、それから空港の手続きに1時間以上かかり、0時過ぎになりました。
降りてびっくり、空港の表示にフランス語、英語の次に日本語があります。タヒチでもそうでした。この時間でも、空港出口には、にぎやかな音楽でお出迎えです。それから1時間バスに乗り、宿についたら1時過ぎ。部屋に入り、シャワーを浴びたら2時過ぎ、ということで、旅が始まりました。
ヌメアとアンスバタ【ニューカレドニアの旅2】 2019年11月18日
ニューカレドニアの「首都」はヌメアという町ですが(国でないのに首都というのか?)今回の宿はそこから5㎞ほど離れた、アンスバタというところにあります。ここは、海に面したリゾート地で、たくさんのホテルが建っています。今回泊まったのもその一つで、道路を隔てて海、というところ。ちょうど夕日が沈むのが見えます。
午前中、ゆっくり起き、偵察を兼ねてホテルの周りを散歩。ATMを見つけてお金をおろし、買い物開始です。町の表記は、フランス語。時々英語を見ます。レストランなどでは日本語表記も多いです。
今回は朝食付きでないので、サンドイッチを買って食べました。物価はとても高いです。ほとんどのものが海を隔てて輸入ということから仕方がないのかもしれません。通貨をパシフィックフランというますが、昔タヒチで使ったものです。1XPFがほぼ1円なので、換算は簡単。サンドイッチが500XPF、オレンジジュースが350XPFでした。
熱帯の国らしく、少し歩くと、熱帯の鮮やかな色の花が見られます。名前を知らない花もたくさんあります。海岸は砂浜で、青い海が広がっています。まさにリゾートの海岸です。小さな食料品店で、この地のマンタビール3種類と赤ワイン購入。1868XPFでした。
近所の様子が分かったところで、バスに乗ってヌメアの街に移動します。バス停は、白い柱。1回300フランです。するとカードをくれ、機械にタッチ。降りるときにももう一度タッチ。なんでもこの10月から新しいシステムになったようです。ただ、よくわからないのはこのカードは何度もチャージできるのに、その仕方がわからないことです。ひょっとしたら、ヌメアのバスターミナルにあった機械を使うのかもしれませんがわかりません。
ヌメアの博物館前に着くと、ニューカレドニア博物館は現在工事中で閉館。残念です。港にあるツーリストインフォメーションに行き、地図をもらいました。それから街歩き。町の中心、ココティエ広場周辺を歩きながら、町の全体像をつかみます。
ヌメア市博物館に入場。ここは、かつての市庁舎だそうで、現在は、ヌメアの現代史の博物館になっています。3階にわたる展示ですが、詳細な日本語のオーディオ解説があり、いろいろと事情が分かり勉強になりました。一番印象的なのは、現在のニューカレドニアは、歴史的にいろいろな人種の混血がとても進んでいるということで、日本では想像がつかない社会です。ここはなんと入場料オーディオともに無料!
その後、公園のレストランで昼食。ビールとパニーニで1200フラン。腹ごなしに、裏山の、FOLの丘に登りましたが、山頂付近は工事中でした。景色がいいはずなのですが残念!下って、セントジョセフ大聖堂に行きましたが、ここも内部は工事中で入れず、残念!旅をしていると、こういうことはよくあるんですが…。
バスターミナルに戻り、3番のバスでアンスバタに戻り、宿で一休み。初冬から突然真夏に戻ったので、今日はこれで終わり。少しうとうとしてから、プールにつかり、夕日が沈むのを眺めてから、今日の夕食はテイクアウェイでハンバーガーを宿で食べ、資料を整理してから寝ることにしました。
明日は少し早起きして、ヌメアの朝市、少し離れたチバウ文化センターを訪ねようかと思います。
チバウ文化センターとヌメア歴史散策【ニューカレドニアの旅3】 2019年11月19日
旅行第3日目(といっても実は2日目)は、ヌメア郊外にある、チバウ文化センターに出かけました。チバウというのは、民族運動解放家の名前。ニューカレドニアの先住民族カナック他オセアニア全体の伝統文化を紹介するために作られた施設だそうです。
今回の宿は、バスタブ付きを希望したので、とても広く、プールを望むベランダ付きの部屋になりました。ベッドが3人分もあります。安宿に泊まり旅をしてきた身には、ぜいたくすぎる気もします。この先短いから、このくらいはいいですか。ただ、気温が高いのでバスタブなど使うと汗が引くまで大変ですから、なくてもよかったのですが…。
朝、バスでヌメアに出かけ、朝市に立ち寄ります。ここは、肉・魚・野菜のほか民芸品の店などが出ています。土日はもっとにぎやかなようです。ここで朝食。オレンジジュースがおいしい。
バスセンターに移り、チバウ行きのバスN2を待ちます。バスシステムが最近変わったので、係職員も大変そうでした。少し前までは、40番だったようです。1本乗り過ごして出発。30分ほどでセンター到着。
入り口で、チケットを買おうと1000フラン出すと65歳より上ですか、と聞いてくれ、そうだというと半額の500フランで入場。パスポートを置いてきたので、IDがないと証明できないと思っていましたが、口頭でOKでした。ちょっぴり得した気分に。
センターの建物に入る前に、カナックの道というのを歩きました。ここはカナックの国づくりの物語で、最初の人テアカナケの誕生から死、再生までの「神話」の物語です。民族固有の神話が述べられて興味深い。また、熱帯雨林・マングローブなどの中を歩きます。
本館の建物は、変わった形をしています。有名な建築家が設計したとかで、未完成の状態を表現したとか。確かに楕円体が上の方がなくて、建築途上のように見えます。
こういう建物が10棟続きますが、期待していた、歴史的な資料は少なく、現代に受け継がれた作品が多いように思えました。ただ、圧巻は、カーズといわれる伝統家屋の作成の様子を写した映像。当時の技術と材料で、20m以上の建物を作っていくのです。いろいろな植物をうまく使っています。それとともに、共同作業がうまく行われています。
レストランで昼食の後、外にある実際のカーズの建物を見に行きました。想像以上に高い!日本の古代の建物と比べ物のなりません。中は広く、高い。このような建物を作る技術はあったのだと感心しました。
チバウ文化センターをあとにバスでヌメアに戻ります。時間があるので、「地球の歩き方」おすすめの歴史散歩に挑戦しました。一部は昨日歩いているのですが、①から⑱まで歩いてみました。いろいろなところにある説明版には、フランス語、英語とともに日本語が書かれています。それだけ日本人観光客が多い、ということなのでしょうが、今はピンときません。
歴史散歩の中で、第2次世界大戦博物館に行きました。アジアの多くの国は、この時代が日本軍の占領下の時代だ、という展示なのですが、ここは、日本の占領地にはならなかったということで、雰囲気が違います。それでも日本にかかわる品は展示されていました。アンスバタに戻ってから説明版を見たのですが、このニューカレドニアは、米軍が対日戦争のための基地にと多くの建物を作り、病院では傷ついた兵士をみたという、対日戦争の後方基地としての役割を果たしたとのことでした。こういうところが、同じようなアジアの戦争博物館とは違うところかな、と思いました。また、日本には、若者にこの戦争の実態を知らせる施設が少ないことも痛感しました。
2時間弱で市内をぐるりと回り、アンスバタの宿に戻りました。結構疲れた一日でした。明日は、回り残した動植物森林公園と海洋博物館に行くつもりです。
動植物森林公園と海事博物館【ニューカレドニアの旅4】 2019年11月20日
今日はヌメア郊外にある、動植物森林公園(Le Parc Zoologique et Forestier)と海事博物館を訪ねました。
動植物森林公園は、広い敷地に、この地の自然植物園と動物が飼われている所です。バスが土日しかないそうですから、タクシーに乗ります。今回の旅では初体験。
今日は少しゆっくり目に起きて、朝買い物。近所の食料品店でワインと朝食を求めます。この島では、水曜日の午後は、酒類の販売が禁止されるようなので、午前中に手を打ちます。最近行ったどこかの国でもこういうルールがありました。朝食は、ネムというベトナムの春巻を初めて食べました。
バスでヌメアに出て、ココティエ広場脇のタクシープールから乗車。この国では、流しのタクシーはなく、ホテルの前とかのタクシー乗り場へ行くか、呼んでもらうしかありません。行き先を告げると、20分ほどで着きました。料金は800フラン。入口ゲートから入ると料金所。ここもフランス語英語とともに日本語の表記があります。シニア料金で半額の300フラン。料金所の隣に「自然の家」という小さな博物館がありましたが、中身は展示ばかりでした。
ここを出ると、赤い花をつけた木があります。フランボワイヤン(火炎樹)という木のようです。突き当たると右手が植物園ゾーン、左手が動物園ゾーンのようです。植物園ゾーンの道を進みます。広い園内にはいろいろな名前の付いた道があります。一筆書きでは全部を回れそうにないのでなるべくたくさんの道を歩くようにしました。
大きな道のほかに、山道のような自然観察路もあり、「熱帯乾燥林」(ドライフォレスト)や灌木密集林、サボテン、ヤシ、南洋杉など植物の林は多様です。
またところどころには、鳥や獣のケージがあり動物園となっています。自然の中に置かれているケージです。丘いろいろな種類のオウムがいました。また、クジャクがいろいろなところでうろうろしています。白いのもいました。
約2時間かけて、ほとんどの道を歩き回りました。ただ、出かけるときに、望遠レンズのカメラと水を忘れてきてしまい、後悔しました。水は何カ所かに水飲み場がありましたので助かりました。ここは、食べ物飲み物持参でピクニックするのがいいようです。
回った最後の方にニューカレドニアの鳥の見学所があり、ここでカグーという「国鳥」を見ることができました。ニュージーランドのキウィ―と同じように羽が退化して飛べなくなった鳥です。かつては天敵がいなかったのですが、いろいろな動物が持ち込まれ、その結果絶滅危惧種になっているようです。
1時過ぎに入口にある売店にたどり着き、昼食をとることができました。スパゲッティとビールですが、ノンアルコールビールでした。あわせて1300Fでした。
それから受付でタクシーを呼んでもらい、海事博物館に向かいます。呼び出し料170F がかかり1070Fでした。
海事博物館は港の一角にある小さな建物ですが、かつての南太平洋を人類が広がっていた時代や大航海時代からのいろいろな資料がありました。入場料はシニアで半額の250F。
バスターミナルに向かう途中に土産物屋に寄り、また大きなスーパーで夕食の食料を調達して、バスで宿に戻りました。
明日はいよいよ最終日、チェックアウトして、アンスバタの周辺にある、アナール島へ水上タクシーで往復、水族館、ウアントロの丘などを訪ね、夜、離陸する予定です。
島に渡った、丘に登った【ニューカレドニアの旅5】 2019年11月21日
今回の旅は5泊なので、もう最終日になりました。今日は、宿のあるアインバタの周辺で過ごします。朝食は、ネムという春巻き、サモサ、オレンジ、バナナと宿の紅茶です。朝10時にチェックアウト。荷物をホテルに預けて、まず向かうのは、カナル島への水上タクシーです。
カナル島は、鴨島です。なぜかはわかりません。今日は晴れてはいますが風が強く、波が立っています。乗り場を間違えて少し戻って、ヌメア市の観光案内所の下でした。すぐに船が出ますが、砂浜に直付け。波が高いので、濡れてしまいます。何とか飛び乗って、5分少しで到着。ただ、船は揺れました。
カナル島は、一周15分くらいの小さな島で、砂浜にサンゴがびっしり打ち上げられています。まさにサンゴ礁の中の島。ここに来る人たちは、海水浴のためです。浜辺には椅子がずらりと並んでいます。とくにヨーロッパの人たちは、真っ赤になるくらい日焼けをしています。なんでも冬が長いので・・、だそうです。
海はきれいです。島を2周ぶらぶらして、1時間後に戻りました。帰りの船は2人でしたが、やはり揺れました。
次は、水族館に行きました。ちょうど時間が昼食時だったのですが、レストランはどこも混んでいるようなので、先に回りました。入場料シニアで1125XP。ここの展示は、マングローブの林の中、ラグーンの中、外洋という構成になっています。ニューカレドニアの固有種もたくさんありました。色とりどりの熱帯の海の魚がきれいです。
ここにしかない「生きた化石」オオベソオウムガイがあります。約5億年前からほとんど姿を変えていないのだそうです。
ここに、ジュゴンについての展示がありました。人魚と間違われた歴史から始まり現在の状態などです。この中で、生息地が極めて限られていて、ニューカレドニアはその一つですが、なんとJaponもそうだと書いています。これは、沖縄のことだと思います。絶滅したところもたくさんあります。ジュゴンの生息地は、世界でも貴重なのに、今それを埋め立てて基地を作ろうとしています。ジュゴンの貴重さを改めて感じました。
2時に出て、昼食。サンドイッチとビール。大きなフランスパン・バゲットのサンドイッチです。フランス流です。硬いのですが、こうばしくておいしいパンでした。
その後、シトロン湾からアインバタ湾と海辺を通り、ウエントロ展望台のある丘に登りました。標高130mですが、正味0mの海から登ります。最後の方は結構急な道を上りてっぺんにつきました。道路がきていて車が何台も止まっていました。大砲が2門置かれ、ここが要塞であったとのこと。見晴らしは最高です。ぐるりと海が見えます。登山路はいくつも作られているようです。しばらく景色を眺め、下りました。途中、展望地があるのでそこでも一休み。
海に降りると、何やら不思議な景色が。パラグライダーがいくつも飛んでいますが、高く昇らないのです。近くで見ると、パラを動力にしてサーフィンをやっています。なんというのか知りませんが、初めて見ました。次々と新しいものが現れます。
宿に戻ったのが5時過ぎ。プールについているシャワーを浴びてすっきりし、着替えをして外に出ました。
夜景に代わっています。29枚目の右の小さな点は、カモメです。アインバタ湾は夜の明かりでいっぱいです。
今日は8時半にロビーに集合。空港に向かい、チェックイン日付が変わって離陸。明日朝8時に成田到着というスケジュールです。
帰国 常夏から初冬へ【ニューカレドニアの旅6】 2019年11月22日
深夜0:55に離陸した飛行機は、順調に北へ向かいます。乗客の大多数は、眠い!。サンドイッチの入った袋を配られ飲み物をもらい、さっさと食べる人、そのまま寝る人などです。
今回のツアーは、申し込むとき意識しなかったのですが、航空機・ホテル+送迎付きだったのです。これまで、外国に行くときは、ホテルまでのコースは自分で用意する、というのが当たり前だったので、空港でピックアップされホテルへ、ホテルでピックアップされ空港へ、というのは、確か初めての経験でした。確かに、楽です。が・・・。バスは4つのホテルを回りほぼ満員。また東京直通の飛行機も、ほぼ満員。ニューカレドニアの観光に日本人が寄与しているのが感じられます。
この島の歴史を学んだ時に知った、第2次世界大戦での位置、この島はアジアやミクロネシア、メラネシアの多くの地と違い日本に占領されることがなかった故の、対日感情が悪くないことも、今日の観光に結びついているのだと思います。
今回の旅で、ニューカレドニア博物館が工事中で見られなかったのは心残りでしたが、4日間の旅としてはいろいろと収穫があったように思えます。買って帰ったものは、ご当地のマンタビール、笛とガラガラの楽器を二つなどでした。
日本時間(2時間遅い)8時に成田空港到着。朝早いせいかすんなり空港を出て、上野に出、遠刈田に戻りました。東京は雨で寒い。蔵王の山は、スキー場は真っ白になっていました。常夏の国から初冬の地に戻ってみると、寒い。温泉につかると、4日間快晴の元歩いて日焼けした腕やふくらはぎがピリピリしみて、旅が終わった、と感じました。