ヨートゥンハイメンの山を歩く
北欧ノルウェーにあるヨートゥンハイメン山地(Jotunheimen)は、北欧の最高峰ガルホッピゲン(Garhoppigenn 2469m)を含む山地である。標高こそ低いが北緯60度を超えた地域であり氷河が刻んだ地形で作られている。この山地を2010年夏
に歩いた。
8月20日 オスロへ
前日夜、ヘルシンキ経由でオスロに入り、宿泊した。午前中に、DNTの事務所で、買い物と情報収集
ガスボンベ、靴下、シーツ(絹製450NKもする)を購入し、Gjendesheimへの交通を調べてもらう。宿の予約は必要ないとのこと。
8月21日 イエンデスハイム(Gjendesheim)へ
9:30オスロバスターミナル、14番よりバスが出る。チケットは乗る時運転手に行き先を言い、支払う。ノルウェーのバスは広くて、長距離バスはトイレ付である。バスは途中、昼過ぎにFragernasで乗り換え、途中の乗り換え駅で昼食にサンドイッチを購入し、車内で食事。山岳地帯を走り、イエンデスハイム(Gjendesheim)に1時半ころに着く。
イエンデスハイムはイエンデ湖のほとりにたつロッジである。道路のそばにあるので「山小屋」という雰囲気ではないが、DNTが経営する山小屋である。ノルウェーの有人小屋は日本と違い、「山のホテル」という言葉がにつかわしい。個室を持ち(ド
ミトリーも当然)シャワーがあり、食事はコース料理がでる。
このヒュッテがあるイエンデ湖は、コバルトブルーの湖でユネスコの遺産に登録されているということが書かれている。この湖は奥ゆきがあり、連絡船が運航され、メムルブー(Memurubu)イエンデブー(Gjendebu)を結んでいる。これに乗ると、湖水観光もできるし、労せずして奥の2つの山小屋に行くこともできる。
当日は土曜日で満員とかでドミトリー3食付きで泊まった。夕食はスープ、エルク肉、ミートボール、ブロッコリーがたっぷり、それにデザート、コーヒーであった。
翌日の朝食はビュッフェ方式で好きなものをほしいだけ、品数も豊富であった。ただ、始まりは8時と遅い。ランチを注文する人は、サンドイッチを作って袋に入れて持っていく方式。支払いは、ワインハーフボトルを入れて654NKであった。(当時のレートで9000円)DNTの会員割引での価格である。物価の高いこの国で2食付きでこの値段はうれしい。支払いは、カードでもキャッシュでも可。カードが生活の至る所に入り込んでいる。山小屋でもだいたい使えるようだ。
なお、入国直前に、インターネットでDNTの入会手続きをした。ノルウェーでDNTの山小屋に3泊すると年会費の元が取れるらしい。
8月22日(日)ベッセゲン稜 イエンデスハイム〜メムルブー(Memurubu)
本日は、イエンデスハイムからメムルブー(Memurubu)までの行程。ガイドブックによると7時間、標高差1000mとされている、
イエンデ湖の北側の山稜を歩くコースである。ここに有名なベッセゲン稜(Bessegen)がある。南側のコバルトブルーのイエンデ
湖の湖面が北側のベス湖の湖面より400mも低い痩せ尾根である。左は400m切れ落ちている
8:40にイエンデスハイ
ムを出発。天気は曇りで寒い。はじめ700m登り、ピークのケルンでは気温4度。1035m地点から250m近くの岩稜の
下りになっている。右側が湖面に近いのに左側は400m以上ある断崖の下にコバルトブルーの湖面が見える。
この稜を越えて登り返し、最後に400mの急な斜面を下り、湖の畔にあるメムルブー小屋に着く。4:00。
この小屋は改築されたばかりのようで
とてもきれいである。4ベッドの部屋をあてがわれて広々と過ごす。シャワーはコイン式、10Kで6分。
夕食は、25人ほど。鮭入りクリームスープ、ゆでぶた、インゲン、人参、ジャガイモ。そしてデザートはムース、ビールは65K。
食事後、疲れがどっとでて、たっぷり寝た。支払いは、前納で724Kであった。ここはDNTの小屋ではない。
8月23日(月)メムルブー〜グリッターハイム(Glitterheim)
本日は、メムルブーからグリッターハイムまで約17kmの道のり。歩き始めに昨日下った400mを登り返し。これはつらい。
1時間余でようやく分岐。ここからどんどんKussratnet湖めがけて下ってゆく。
湖の畔で降りると、ここから湖を右にみながら平らな道を進む。昨日と違って、ほとんど人はいない。スペイン人らしきグループを抜いた後、若者ペア(後にオランダ人とわかる)と抜きつ抜かれつで進んでゆく。
途中、左手に大きな滝があり、これをみ
る道に入り、また湖畔の道に戻る。初めて向こうから来る3人とすれ違う。そのほかには全く人と会わない。
湖と分かれて左に上り、台地をトラバスしたあと、吊り橋を渡る。地図では、夏の間だけ架かる橋とある。これを越えて、400mの登り、岩ががらがらの道をペンキのマークがあるケルンをみながら進む。視界は良好であるが、ガスに巻かれたら怖いところだ。
ようやく3:50に峠。グリッターハイムが見えているが、ここからだらだらと下り、川を渡るために大きく右に迂回
し1時間以上かかるようだ。はたして、ひたすら下っても、ちっとも近づいたような気がしない。結局、最後の吊り橋を渡り、
Glitterheimに着いたのは5:15。8時間かかった。
グリッタハイムでは、23号室。一人用の小さな部屋だ。ビール65K,シ
ャワーを浴び、夕食。カリフラワーのホワイトソース煮、挽き肉料理ジャガイモ、サラダ、デザート。赤ワインをグラスで。宿
泊客は25人くらい。天気予報は明日から1週間くらい雨。グリッターティンに上るのは無理なようだ、残念。疲れて夕食後、
ぐっすり眠った。宿泊費668K.
8月24日(火) グリッターハイム〜スピーターストゥレン(Spiterstulen)
朝起きると雨。小屋前の温度計は4℃。8時からの食事を済ませ出発準備。雨支度をして9時15分出発。スペイン人(?)のグループと前後して出発。グリッターティンデン(Glittertinden2465m)はあきらめて、迂回ルートを通る。残念。
平らな道を川に沿って1時間ほど歩くと標高1750mの峠まで300mの登り。雨が冷たい。気温も低下して,霙になる。とても止まっていられず、
ひたすら歩くしかない。峠には大小5つくらいの池がある。越えると広い斜面をひたすら下る。途中、風をよける場所もない。
オランダ人2人連れが歩いている他は人はいない。途中にあった大岩の陰でランチ。食べないと体温が奪われてゆく。登りの3パーティとすれ違うと、12:10にピークからの道の分岐を過ぎて、徒渉地点。
3回徒渉してしばらく歩くと、スピーターストゥレン
への急な下り。350mを下ってようやく到着。3時ちょうどで、約6時間の冷たい雨の中での行動であった。
濡れたものを脱
いで受付を済ませ、部屋に入る。部屋は一人用の小さな個室。温かいシャワーがとてもありがたい。人心地吐いてから、本館で
休憩。天気予報は、連日雨。残念だが、予定を変更して西へ横断するのはあきらめ、ここで2泊することにする。
夕食は、アスパラスープ、鱈フライ、ゆでた野菜。グリッターから道中をともにした2人と同席。そこでこの2人がオランダ人だとわかる。
夕食後、早々に寝る。
8月25日(水) 新雪のガルホッピゲン(Galhoppigen)
休養日の予定であったが、朝起きると雨は降っていない。天気予報は、昼まで曇りのち雨、となっているので、ガルホッピゲン
に行ってみる。山頂まで標高差1300m。7:30に朝食。8:25出発。2005年に一度登っているので,山の様子はわかっている。8:50に
ユーバスヒュッテへの分岐、10:15には標高1900mまで登る。
この頃から,雪が所々に見える。昨日の雨がこの標高では雪になって
いたようだ。さらに進んでゆくと、一面の雪とガスの中になり、12:20に着いたSvelnose(2278m)のピークでは、積雪が15〜20cm
。視界は数メートル、風も出てきて寒い。この先小さなピークを2つ越えて雪原を登りつめると山頂,標高差は残り200mくらいな
のはわかっているが、この天気で雪の支度もしていないので,ここで登頂を断念する。
標高2000mで8月に15cmの新雪!さすが、高緯度の山岳である。
下山を開始。途中、岩陰でガスコンロで湯を沸かし、インスタントパスタの昼食。さらに下山を続け2時にスピーターストゥレ
ン。これで今回の登山行動は終了。
8月26日(木) ベルゲンへ
この時期には、Lomに行くバスはないとのこと、タクシーを呼んでもらい、バス停まで行き(326K)、ソグンダル経由でバスを乗り
継ぎベルゲンへ行く。
2泊の後、オスロ発、ヘルシンキで1泊の後帰国した。日本は、30℃を越える猛暑の中にあった。数日前に
、新雪の中を登っていたことが、真夏の夜の夢のようであった。
地図
Jotenheimen Aust Turkartserien2503 Ugland IT Group
Jotenheimen Vest Turkartserien2505 Ugland IT Group
130NOK 5万分の一
ガイドブック
Norwegian mountains on foot DEN(Den Norske Turistforening)
100NOK ノルウェー全土の山岳ガイド
Walking in NORWAY CONNIE ROOS ISBN 1-85284-230-X
CICERONE PRESS Milnthorpe Cumbria ENGLAND $16.95
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