2012年9月、初秋のドロミテ、チロルを歩いた。この2つは、ヨーロッパアルプスの東の部分、国で言えば、イタリア北部とオーストリア西部である。地図を見る
9月12日(水) 《ベネチアまで》
成田を10:25のスイスエアーで出発。ベネチアのマルコポーロ空港まで行く。到着予定は、まだ日のある18:50であったが、チューリヒで3時間の遅延。おかげで、ベネチア空港に着いたら夜10時。荷物を受け取り、バスに乗ると、11時になっていた。バスターミナルのローマ広場では雨。前回と同じだ。どうもついてない。サンタルチア駅を探し当て、予約していたホテルに入る。条件はよくないが、駅に近いところにしていたことがよかった。が、やはり、この町の宿は高い。1泊80ユーロ。
他の町と違い、ベネチアでは、タクシーを拾ってホテルに乗りつけるわけにいかない。水上タクシーで行けるのは、運河に面したところだけである。
ようやく宿に入り、シャワーを浴びて一息。時差を入れると朝8時まで徹夜をしたことになる。すぐに寝てしまった。
9月13日(木) 《ベネチア見物》
朝少しのんびりし、明日のコルチナまでの移動の手配。いくつか尋ねた結果、直通バスは、土日のみ運行、明日はないので、鉄道で行くことにして、時刻確認と切符の手配。朝1便午後2便のみ。その後,サンマルコ広場まで歩く。迷路のような町並みを思い出した。前回来たときは、ちょうどクリスマスで、とにかくなにもかも閉まっていて、何も見られなかったので、サンマルコ寺院やドゥカーレ宮殿や博物館など見て回った。市場も開いていて、魚、野菜、肉などを売っており、興味深い。
帰りは、7ユーロで、水上バスで宿に帰る。街を歩いていて驚いたのは、映画「羅生門」を上映するポスターが貼られていとこと。日本では、見られないことだが、クロサワに対する評価は、とても高いのだと、再認識した。さすがに、映画祭で有名な街だ。
9月14日(金) 《コルチナに移動、いよいよドロミテへ》
朝8時4分発の列車で、カラルツォ(Calalzo)まで行く。サンタルチア駅を発車してすぐ、北に山並みが見える。ドロミテだ。ベネチアは海の街であるとともに、アルプスを望む街でもあるのだ。10:47着。すぐにコルチナ行きのバスに連絡していて、出発。途中、左右に、岩の塊でできた山が見える。いよいよ、ドロミテだ。12時ころ、バスはコルチナのバスセンターに着く。ツーリストインフォメーションをたずね、宿に着く。街中の便利のよい宿。スパゲティの昼食の後、インフォメーションに行き、明日のドライチンネまでの交通と、アオロンゾ小屋の予約を取ってもらう。なお、この地域は、歴史上の経緯によって、イタリア語とドイツ語が共存している地域で、地名も2つ持っている。たとえば、ドライチンネン(DREI ZINNEN)がドイツ語で、イタリア語では、トレチーメ(TRE CIME'DI LAVAREDO)。町の名も同様であり、ややこしい。バスの時刻表も左にドイツ語地名、右にはイタリア語地名が書かれている。コルチナの町ではイタリア語が多く話されているようだ。
このような手配で時間を使ったため、この日は、町の中で過ごすことになった。コルチナの町は、まわりにいくつもの岩の山があり、その中のいくつかにはロープウェイがかけられ、手軽に登ることができる。そこから下るハイキングコースも作られているため、半日で行ける所も多い。が、この日は、それもできず夕方、古生物学博物館と民族博物館に行ったが、これはこれで面白かった。古生物博物館は、さほど広くないが、ドロミテの山は、海底で生物の死骸が積もって作られた石灰岩(ドロマイト)からできているのだ、ということがよくわかる。民族博物館は、日本語音声ガイドがあって、面白く見学できた。ちなみに、コルチナは、日本人観光客の誘致に熱心なようで、日本語の特別なガイドブック(100ページもある)を作ったり、夏の間は、観光案内所に日本語を話す人を配置している。
そうしているうちにこの日は終わり、いよいよ、ドライチンネに行くことになった。
9月15日(土) 《ドライチンネ》
朝8時5分のドッビアーコ行きのバスに乗り、そこで、ドライチンネ行きに乗り換える。このバスダイヤは、コルチナから行く人に、嫌がらせをしているようなダイヤである。カタカナのトの字の下の端がコルチナ、上の端がドッビアーコ、右の端がドライチンネである。下から右へ行くには、真ん中(カルボーニン)で乗り換えればよさそうだが、5分違いでそれができないようになっている。ただ、行ってみると、ドッビアーコ発のバスは満員になり、途中からだと、座るどころか、乗るのも大変という具合である。土曜日だからかと思ったが、そうではないようだ。だから、教えてもらった通りのドッビアーコまで行くのは、あながち間違いではないのかもしれない。ドッビアーコで満員の客を乗せたバスは、予定より少し遅れて、10時過ぎに終点に着く。アオロンゾ小屋(Rif Auronzo 2320m)で準備をし、10:25出発。ハイキングルート101を進んでゆく。ここらのハイキングルートには、番号が振ってあり、道標もそのように作られている。101は、はじめは水平の道を歩き、ラヴァレド小屋を過ぎラヴァレド峠で,3つの峰が見える。ここからドライチンネ小屋(Drei-Zinnenn-Hutte,Rif.Dre Cime A Locatelli)までは、道は広いが、9月のこの時期まで雪が残り凍っているところもある。ドライチンネ小屋から見る景色はすばらしい。3つの岩峰がはっきりと見える
ドロミテ地方の山は、その昔、海底で小動物の死骸が堆積し作られた石灰岩でできているのだが、このスケールの岩峰群を見ると、とてもそのようには思えない。地球は変わっている!
ここで簡単に昼食をとった後、今度は105のルートを歩き始めると、いったん谷底まで降り、そこから登り返しながら、ファルチェリーナ峠、メッソ峠を経て、アオロンゾ小屋に戻る。出発してから4時間弱。
9月になったので、花はもう終わってしまったかなと思っていたが、結構いろいろな花が咲いており、目を楽しませてくれた。
今日は、アオロンゾ小屋に泊まり。チェクインはすんだが、部屋は4時からといわれ、約1時間、食堂で、ビールを飲んで過ごす。4時になり部屋に入ると、2階(実は3階)の一番奥の部屋。寝具付きでベッドが4つある部屋。ここを一人で使えるようになっていた。土曜日とはいえ,ハイシーズンをはずしたおかげ。宿泊料は、2食込みで58ユーロ。なんと、夕食時のワインも込みでこの値段!
イタリアの山小屋は、日本と違うのは、イタリア山岳会が経営しているのが多いこと、小屋まで道路が通じているところが多いこと。だから、いろいろとサービスできる。建物は大きいし、設備もよい。シャワーがあったり、食べ物もよい。イタリア料理の基本、第一の皿(プリモ)、第二の皿(セコンド)そしてデザートとしっかり付いている。それに比べて、民間にまかせきった日本の山小屋は、いまや1泊2食で1万円になろうとしている。
さて、夕食はいくつかから選べるのだが、第一の皿はコルチナの名物料理カネーデルリ(ハム、野菜、チーズ入り小麦粉団子のコンソメ煮込み)、第二の皿は牛肉の煮込みにつけ合わせ野菜にした。ハーフリットルの白ワインもインクルード。最後にケーキがあったのだが、これは、パスした。
食事が終わり、部屋に戻ると、さすがに疲れていたようで、すぐに寝てしまった。
9月16日(日) 《コルチナ・ファローリアへ》
今日は、コルチナに戻るのだが、バスの接続が悪く、一番に乗っても、12時前にしか戻れない。そこで、ミズリーナ湖(Lago di Misurina)まで歩いて降り、そこでバスを待つことにした。7時過ぎに朝食をとり、8時過ぎに出発。標高約600mの下りだが、気持ちのいい道である。1時間半でアントモ湖(Lago de Antomo)を経て、ミズリーナ湖に到着。快晴で、湖に映る山々を堪能し、バスに乗る。途中乗り換えの待ち時間が小一時間だが、コルチナに12時前に着いた。バスターミナルの食堂で昼食の後、ロープウェーでファローリア(Faloria)まで上り、景色を見た後、町まで標高差約1000mのハイキング。山頂駅から少し登ったテレビ塔から始まる214のコースを降りる。ひたすら下りのコースで、1時間ほど降りると、尾根のトラバースになるが、これは結構大変なところ。なんせ、左側は、数百m切れ落ちている。ハイマツの中の道だが所々左が崩れている。2時間ほどで下り、町に戻る。急な下りばかりの道もあまり楽しくないと思う。
コルチナには、このように、周りにクリスタッロやトッファーネなどの岩山があるが、これにロープウェーが掛り、これを使えば簡単に1000m登ることができ、下りのハイキングコースも、難易含めいろいろある。中には、ヴィア・フェラータという、鉄のロープやはしごのコースをカラビナをかけつつ登る岩歩きのコースもある。
夕食にピザ屋に入ると、同席しないかというお誘いがあり、地元のムルタス夫妻と食事をともにした。夫妻は、地元でみやげ物屋を営んでいるとのことで、中国に旅行したばかりだという。日本のことやイタリアのこと、家庭のことや趣味のことなど1時間半ほど話がはずみ、名刺を交換して分かれた。
宿に帰ると、翌日の支度をして、ばたんと寝てしまった。考えてみると、今日は、標高差で1600mも降りたのだから、結構足が疲れていたのだろう。
9月17日(月) 《マルモラーダ遠望 コルバラから》
コルチナから、カナツェイに行きたかったのだが、昨日、ツーリストインフォメーションで問い合わせた結果、夏ダイヤが終わっており、バスの乗り継ぎだけで行くことができない、ということで、次の目的地は、ドロミテの真ん中の、コルバラに行くことにする。地図で見るとまっすぐ行けば近い(タクシーなら90ユーロだとか)が、バス便がなく、遠回りして、コルチナ→ドビアーコ→ブルニコ→コルバラというコの字型のルートで、3本バスに乗り継いで行くことになった。まず、一昨日と同じ8:05のバスでドッビアーコ(Dobbiaco)へ。ここで約1時間待ち合わせ。この間に、市役所広場に行くと、市の準備をしている。広場に、着る物から食べる物、その他いろいろを売るテントが建てられている。絵葉書を購入、カプチーノ2ユーロ。
次は、5ユーロでプルニコ(Brunico)へ。約1時間で到着。ここは大きな町で、市役所も大きな建物だ。昔のメインストリートが歩行者天国で、石畳の楽しい道。突き当りが大学で、学生がたくさんいる。ここも約1時間待ち合わせで、12:07にバスが出る。6ユーロ。
1:15にコルバラ(Corvara 1568m)へ。ここは、山の中のリゾートの町というより村。ツーリストインフォメーションの場所を聞いてたずねると、なんと3時まで昼休み。昼食をと、レストランに入ると、クローズド。やっているところを聞くと、少し坂上の店を教えてくれた。行ってみるとここもやってない。また、教えてもらって行くと、今度はやっていた。キノコのパスタとビールがうまかった。幸いなことにここ、ラ・フォンタナは、ペンジオーネで、部屋があるという。ハーフペンション(2食付)で49ユーロ。山小屋より安い。おまけに、部屋にはなんとジャグジーつきのバスタブまで。久々に、風呂に入れる!
荷物を置いて、コルアルト(Col Alt 1980m)にリフトで行き、アイ・タブラの丘に登る。ここは2040m。晴天は続いている。南西にドロミテの最高峰、マルモラーダが見えている。北面に氷河を乗せて、どっしりとした山容。まさに「ドロミテの帝王」とか、「完璧な山岳」と呼ばれているにふさわしい。近くに行けば、かなりの高さまでロープウェーで登れるはずだが、今回は、ここから見るだけ。
ここからコルバラの町へは、標高差500mの下り。ルート30を通り4時に町に戻った。少し村をぶらついて、宿にもどり、風呂に入る。なんと言う贅沢。
7時から夕食。プリモはパスタ、セコンドは豚肉のソテーであった。デザートつき。
インターネットも接続できる。ここの方式は、ログイン画面の前に、登録が必要で、ここに、メールアドレスとともに、携帯電話の番号を入れることになっている。すると、そこにIDとパスワードが送られてくるのだが、メールアドレスだけでは開けないので、電話番号にメールを送り教えるというシステム。日ごろ使わない、モベルのイギリスの番号の携帯電話を使い、接続できた。
9月18日(火) 《サッソルンゴを見る》
コルバラを8:30のバスで出る。プランで乗り換え、オルティセイ(Ortisei 1236m)までが今日の移動。バスは、ガルデナ峠を越えて行くが、曲がりくねった細い道を大きなバスを進めていく運転手に感服。峠を降りて、プランのバス停で乗り換えだが、時間になってもこない。へんな時間にバスが来たが、これは違う系統のバス。とにかく、10時過ぎに、オルティセイに着き、インフォメーションで紹介された宿アムステッテンネックに。ハーフペションで68ユーロ。安い。荷物を置き、11時半に、アルペ・ディ・シウジ(Alpe di Siusi)に行くロープウェーに乗る。ここは、「ドロミテの展望台」と呼ばれる、周りを谷に囲まれた丘陵。片道10.80ユーロ。12時に丘陵の西の一角Mont Seucに着く。ここの山小屋で昼食。ひき肉ソースのスパゲッティと20dlのビール。ここからは、サッソルンゴとサッソピアットの岩山が印象的。サッソルンゴはどっしりと聳え、サッソピアットは左が急な三角形に見える。右側には一般ルートが、左側には岩登りルートがあるらしい。食事を終わってから、パノラマと呼ばれる小高い丘まで歩く。穏やかな牧草地の周りに、岩峰がいくつも見える。
2:30、ここからルート3に従い、街まで歩いて降りる。この道は、全部舗装されていて、楽しくない道だ。やっと麓に降りたのだが、最後に、道路工事中で、15Aというハイキングコースを歩かされる羽目になった。また100mの登り。4:00に街に戻る。
夕食は、サラダ、パン、パスタ、カモのオレンジソース、デザートというイタリア料理のコース。堪能して、部屋に戻る。翌日は、また移動日である。支度をして、寝る。
9月19日(水) 《ボルツァーノに移動する》
オルティセイ発10時35分ボルツァーノ行きのバスに乗ろうとバスターミナルで待っていた。バスが来ると、入口に人が群がり、乗ろうとしている。この国の人は、列を作れない。遠慮がちだとドンドン後ろになる。席は埋まり通路も埋まったころ、運転手が降りて、席を見て、行き先のボードを裏返し、肩を竦め、運転席に戻り、ドアを閉めてしまった。まだ客が3人いるのに!あれよあれよという間の出来事。そして、発車。増発が来るかと待って待ってもこない。唖然として、次のバスまで待つのだ、とわかった。2時間待ち、12時35分バスに乗った。今度は、遠慮しないでさっさと乗り込んだ。結構混んでいる。途中の停留所で降りてゆく。ハイキングコースの出入り口みたい。結局、ボルツァーノ(Bolzano Bozen)着は2時。ツーリストインフォメーションで宿を探してもらう。ここは『都会』だから、結構高く、65ユーロ。最も、町中にあるので、こんなものだろうが。昼食を済ませると、3時過ぎとなり、今日は、ボルツァーノの街中を散歩することにする。人口10万人のこの町は、こじんまりとしているが、中心街は市が立っていたり、教会がいくつもある。博物館はいろいろな分野の展示があり、まさに「博物」館だ。かつての登山用具などの展示もある。昼食が遅かったので、夕食は、スーパーで買ったもので済ませる。 こうして、ドロミテの西の入口のコルチナから、東の入口ボルツァーノまで6日かけて横断した。
9月20日(木) 《ドロミテよさらば、チロルへ移動》
ボルツァーノを8時に出る列車で、ブレンナー峠を越えて、オーストリアのインスブルックへ移動。1時間20分くらいで、ブレンナー峠に着く。ここは、ヨーロッパ北部からイタリアへの交通路のいくつかの峠のうちのひとつ。ローマ帝国時代から使われていた交通の要所である。峠の駅でバスに乗り換える時にトイレに寄り、バス停に行くと既に発車した後。なんと余裕のない時間設定!仕方なく1時間後の次のバスに乗る。途中、鉄道駅で列車に乗り換え、インスブルックに。駅でオーバグルグルまでの時刻表と切符を入手。発車までに、昼のパンとジュースを買い、ホームで食事。列車に1時間弱乗り、エッツタール駅でバスに乗り換え。2時20分にオーバーグルグル(Obergurgl 1907m)に着いた。ここは、エッツ谷の一番奥の集落。山の向こうは、イタリアである。ツーリストインフォメーションに行き、宿を決めた。Edelweiss & Gurglという4ツ星のホテルが2食付で88ユーロ。季節はずれだからこの料金で泊まれる。四つ星ホテルなどは数えるほどしか泊まったことがないのだが、シーズンオフのメリットである。荷物を置くと3時過ぎ。ホーエムートに行こうかどうしようかと迷ったが、ぎりぎりになるので、やめてしまった。今になってみると、1時間が惜しかったが。まあ、今日は移動日ということで、しかたなかろう。
宿の部屋は最高のロケーションで、部屋は広く、ベランダがついており、そこから、イタリアとの国境にある氷河が見える。外の気温は低く、6時過ぎると6℃しかない。ここは標高が1900mもあり、やはり秋なのだ。明け方には、0℃になっていた。夕食は、広いレストランに20人ほどしかいない。野菜の前菜、オニオンスープ、サラダ、骨着きラム肉野菜添え、チーズというコース。ハウスワインが、ハーフリットルで16ユーロとこれまでの所よりはるかに高いが、高級ホテルだから仕方ないか。日が暮れると、街には何もなくなり、静かに星が出てきた。
なお、このホテルの入口には、ホテルの名にふさわしく、エーデルワイスを栽培しており、花がたくさん咲いていた。
9月21日(金)《エッツタールのハイキング2つ》
今日は、朝8時45分のバスで、ガイスラッハコーゲル(Gaislachkogel 3056m)のロープウェー乗り場へ。9時過ぎに乗り、30分ほどかけて乗り継いで着いた山頂駅は、3000mを越えており、まさに冬景色。周りは雪だらけ、古いロープウェーの施設の解体の作業場になっていた。山頂に十字架があるが、行けそうにもない。駅を一歩出ると、地面はカチカチに凍り、歩くのがやっと。もちろんアイゼンの用意もなく、ここから、下山の歩道があるはずだが、探すどころではない。周りの鋭く尖った山々も新雪を纏って、初冬の山。とりあえず写真をとって、下山開始。トラックなどが通るカチカチの道路を標高差600mも下る。なるべく凍っていないところを選びながら、ロープウェーの中間駅に着いたのが1時間20分後。天気はいいが足元は悪いという下りであった。初秋ではなく初冬の雰囲気。
中間駅に着いてからは、雪もなく快適なハイキングコース。レッテンバッハ(Rettenbach)を通り、ガンペアルム(Gampealm)を過ぎ、ホッホセルデン(HochSelden)のホテル街を通り、山道をエーデルワイスヒュッテ(Edelweisshutte)に到着した。とても景色のいいところで、コーヒー休憩。下りてきた道が見える。そこからさらに下り、セルデンの町に着いたのは、1時半過ぎ。
バスを待ち2時すぎに乗り、オーバーグルグルに戻ると3時前。明日は天気がよくなさそうなので、晴れているうちにと、すぐに、ホーエムート(Hohe Mut)行きのロープウェーで山頂へ。目の前にイタリアとの国境になる氷河を抱いた鋭い山々が見える。目も前に見えるのが、リーベナーシュピーツ(Liebener Spitze 3399m)からの尾根の左がガイスベルク(Gaisberg)氷河、右がロットモース(Rotmoos)氷河。景色を楽しんだのち下山開始。南のコルまでいき、右側のロットモース谷のU字谷の壁を降りてゆく。結構高度感がある。谷底に着いてから、オーバーグルグルに戻る。
ドロミテの山とチロルの山の違いは、ドロミテが、巨大な岩山があちこちにあり、明るいのに対し、チロルは、鋭い岩峰と氷河が連なり、谷に入ると両側にそれらが屏風のようにそそり立ち、暗い感じがする。この雰囲気がアルプスの南と北の違いかもしれない。
着いたのは4時過ぎ。実に今日は、標高差にして、1600+700の2300mを歩いて降りた。宿でゆっくり風呂に入った後、夕食。サーモンテリーヌ、ビーフスープ、サラダ、豚肉の煮込み、チーズという豪華版。
この旅もあと2泊になってしまった。明日は、インスブルックに戻ることにする。
9月22日(土) ≪インスブルック ノルトケッテに登る≫
8時45分のバスで移動開始。1時間半ほどで、エッツタール駅。ここで、次のインスブルック行きを待っていると、ウィーン行きのIC(インターシティ)が来て、30分ほどでインスブルックに着く。駅の中のツーリストインフォメーションで宿を紹介してもらい、移動。12時に着く。荷物を置くころ、晴れ間が見えてきたので、ノルトケッテ(Nordkette)に行ってみようかと準備。ケーブルカーでハンガーブルク(Hungerburg 866m)に着くころには、また悪くなる。何でも、今日は、地中海からの風が吹き、フェーン現象になるとか。ゼーグルベ(Seegrube)で乗り換え、ハーフェレカレの降り場では、雲行きが怪しい。5分ほどで、ハーフェレカレシュピーツェ(Hafelekar Spitze 2334m) に着くころには、ぱらぱらと降り始めた。山頂には、巨大な十字架が立っている。まわりは、するどく尖った岩山ばかりだ。また、インスブルックの町が真下に横たわり、オーストリアアルプスの山々、イタリアのブレンナー峠に続く道も見えている。遠くの山は、雪で白くなっており、初冬の様相。しばし展望を楽しんだ。標識によると、ハーフェレカレから、ハンガーブルクまで3時間、と出ていたが、雨が降りそうなので、歩くのは中止。ロープウェーで下山した。これをもって、今回の登山行動は終了とする。
その後、インスブルックの街を散歩。夕方宿にもどり、記録の整理など。
9月23日(日)≪インスブルック見物≫
この日は、インスブルックカード(24時間31ユーロ)を買って、インスブルックの名所見物。実は、昨日48時間37ユーロのカードを買うとノルトケッテに行けて安上がりだったのだが、残念。この日は、日曜日で、街の中は静まりかえっている。観光地、観光客相手のお土産屋とレストランが開いているだけだ。マリアテレジア通りや、アルトシュタット(旧市街)、王宮(ホッフブルク)、チロル民俗博物館、アンブラス城などを訪ねた。さすがに歴史のある街で、いろいろと見るべきものはあった。特に山歩きとの関連でいえば、、ホッホブルクで行われていた。登山史の展示はすばらしかった。また、州立美術館には、「FUKUSHIMA DAIITI」という名の絵が2点掛けられていた。見ただけでそれとわかる。こんな所まで影響を与えているのだ。
夕方まで、いろいろと見て歩き、駅で食べ物を買って、宿の部屋で夕食。シュニッツェル(薄いトンカツ)入りのゼンメル(丸いパン)がおいしかった。
9月24日(月) ≪帰国≫
インスブルック発11:10のウィーン行きに乗る。インスブルック空港は、街のすぐ近くで、タクシーで13ユーロほど。早く着きすぎて、時間つぶしに困ったくらい。ウィーンに行くと、さすがに東京行きは、日本人がたくさんいる。順調に飛び、日本に着いたのは、日付の変わった25日の朝7:30。ちょうど2週間にわたる旅を終えた。地図
ドロミテとチロルDOLOMITI-TIROLO / DOLOMITEN-TIROL CARTA PANORAMIVA E CARTA STRADALE PANORAMAKARTE UND AUTOKARTE 1:500.000 : TABACCO www.tabaccoeditrice.com
コルチナ・ダンペッツォ
Cortina d'Ampezzo e Dolomoto Ampezzane 1:25000 CARTA TOPOGRAFICA per escursionisti : TABACCO 03 :7.50 e www.tabaccoeditrice.com: ISBN 978883150036
ドライチンネ
SEXTENER DOLOMITEN 1:25000 CARTA TOPOGRAFICA per escursionisti : TABACCO 010 : www.tabaccoeditrice.com : 7.50e :ISBN 978883150104
コルバラ
CORTINA ESCURSIONISTICA 1:25000 : ALTA BADIA : www.altabadia.org : 7 e
アルペ・ディ・シウジ
Seiser Alm / Alpe di Siusi 1:25000 : KOMPASS 067 : 5.95 e : ISBN 9783854916727
オーバーグルグル・セルデン
Inneres OEtztal 1:25000 : KOMPASS 042 : 7.95 e : ISBN 9783854916000
インスブルック
Innsbruck Stubai-Sellrain Brenner zur Wander, Red- und Schitourenkarte 241 : 1:50000 : KOMPASS freytag & berndt : ISBN 9783850847537