はじめに
2020年1~2月冬のベルリン・ヘルシンキを訪ねました。冬のベルリン・ヘルシンキの旅1 2020年1月27日
1月27日は成田空港に8時過ぎに到着。フィンエアーは8時55からチェックイン開始となっています。軽く朝食を済ませて、荷物を預けました。今回は、旅行会社のセットした、フライト+ホテルのツアーです。9時半に窓口に寄るように連絡がありましたが、ちょっと疑問。チェックインしたというと拍子抜けのような対応でした。きっと、親切に忘れ物はないかとかチェックして航空会社に行ってもらう親切心であったのでしょうが、それならもっと早い時間にすべきでしょう。
定刻15分過ぎに離陸、ヘルシンキまで10時間のフライトです。今回は、後ろの席の外国人が困った人で、ゲームに熱中しています。かつてのように、コントローラーなら問題ないのですが、今はゲームは画面にタップします。背中でタップされるとうるさいのです。興奮すると力強くなっていきます。そのうちやめるかと思いきや、7時間たってもまだやっています。さすがにひどいので客室乗務員に言うと、席を変えてくれました。
こういくこともあるので、飛行機のエンターテインメントから、うるさいゲームは外すべきです。まあこんなひどい人はめったにいないと思いますが…。
一難去ってまた一難。定刻より15分遅れてヘルシンキ着。乗り換え時間が当初50分になっていたのでちょっと気になっていたのです。ツアー会社が設定したので大丈夫だろうと思ってたのが、現実はびっくり。なんとこの乗り換えには、セキュリティチェックとパスポートコントロールが入っていたのです。これを35分で!大急ぎです。半分走っていきます。座席は、前の方に変えてもらっていたので、助かりました。それでも、パスポートコントロールは長蛇の列。新しい機械がずらりと並んでいるのですが、その先に係員が2人しかいません。ようやく済ませて、長い空港通路を急いで行って、ようやく離陸5分前に乗り込みました。
これは、旅行会社の「ミス」といっていいかもしれません。フィンランドエアーは、1時間前にも同じ経路の便を飛ばしており、こちらを使うべきでした。
ようやくベルリン行きに乗り込みほっとして2時間。ベルリン・テーゲル空港に着きました。疲れたので、空港から宿まではタクシーで。ベルリンの空港は近いので、安心です。30ユーロでした。何とか宿へ到着。結構いろいろあって疲れた初日でした。
教訓は、旅行会社はプロだから大丈夫、と思ってはいけない。不都合があれば、とにかく言ってみるものだ、ということでした。
冬のベルリン・ヘルシンキの旅2 2020年1月28日
昨夜、3日間の博物館券を購入したので、今日は、博物館島のいくつかを回ります。地下鉄駅に行き、5日間のシティーツアーカードを購入、これで市内は自由に動けます。切符の購入はとても手間と時間がかかりますから、旅行者にとってなるべくなら避けたいことです。アレキサンダープラッツに行き、地上へ。
ここは旧東ベルリンの中心の一つで、テレビ塔・世界時計・友好の噴水などがある巨大な広場です。ここから、赤の市役所、マルクスエンゲルスの像、大聖堂を経て博物館島の5つの博物館にいたります。
まず入ったのは、ペルガモン博物館。時間が早いせいもあり、待ち時間なし。この博物館にさっと入れるのは、この時期の特権です。中は、古代バビロニアのイシュタール門など巨大な展示物がありますが、現在工事中で、3つある棟の1つしか見られません。それでもイシュタール門、行進通り、ミレトスの市場門は見事です。2階のイスラム文化の展示もあります。日本語のオーディオガイドを借りて、ゆっくり回りました。
次に、古代ギリシャ・ローマ時代の旧博物館、古代エジプトの新博物館と回りました。どちらもものすごい数の展示物です。
夕方になり、雨風が強くなったので、タクシーで宿に戻りました。緯度が高いので5時過ぎると真っ暗です。
冬のベルリン・ヘルシンキの旅3 2020年1月29日
今日は、宿から歩いて、ドイツドーム、フランスドームに挟まれた、一番美しい広場というジャンダルメンマルクトを通り、この町の中心地ウンターデンリンデンとフリードリッヒ通りの交差点へ。ここにニベアハウスの店があり買い物につきあいしました。
ここから、ウンターデンリンデン通りを歩き、ブランデンブルク門へ。なんといってもベルリンを代表する見どころで、観光客などが集まっていました。
ここから、100番のバスで、ツォー駅へ。これと200番のバスで、ベルリン中心部を横断した形になります。途中、戦勝記念塔ジーゲスゾイデのある広場を経て、ツォー駅へ。ここは、東西に分断されていたころの西側の中心駅だったところで、にぎやかです。ここにある、カイザーウイルヘルム教会は、戦争の惨禍を忘れない、と修復されずにいます。隣には、新しい四角い箱の教会があり、青のステンドグラスとオルガンが美しい。ちょうどオルガンの演奏をやっていました。またその反対側には、細長い塔を建設中でした。
200番のバスでアレキサンダー広場に戻りますが、途中、ポツダム広場で下車。ここにある絵画館などを見学します。新ナショナルギャラリーは工事中でした。
絵画館にはキリスト教の教会芸術からオランダ学派まで、たくさんの数の絵画。ブリューゲルやレンブラントなどの絵もたくさんあります。ここにフェルメールの絵が2点。ベルリンにあるフェルメールとはこのことです。驚くのは、閑散としていて、この2枚の絵の前に人がいないこともしばしばです。日本で展示会を開いたら…などと考えると、さすがここに来ただけのことはありました。
隣の工芸館も見てみました。こちらも陶器や金属工芸などたくさんの工芸品が展示されていました。
そのあと200番のバスに乗り、シュタットミッテ駅まで行き、娘に頼まれていたおもちゃ屋さんを2軒回り、博物館島に戻りボーデ博物館を見学しました。
また100番のバスでウンターデンリンデンに行き、フリードリッヒ通りを歩き、宿に戻りました。
冬のベルリン・ヘルシンキの旅4 2020年1月30日
今日は、地下鉄に乗って町のおもちゃ屋回り。グリムスという、木のおもちゃを売っている店を訪ねます。娘からのリクエスト。日本で買うのより30%以上安く買えるそうです。輸入の手間がかかっているので仕方ないですが・・。
こういう店の情報はネットを調べても探しにくいので、昨夜大きなおもちゃ屋、ということで見当をつけて回りました。最初に訪ねたのは、クーダム近くにある店。大きな店ですが、行ってみるとなんと模型屋さんでした。列車模型、自動車模型がびっしり。大人の趣味で使う店なので大きいはずです。
戻って、ユダヤ博物館を訪ねました。結構近代的な建物で、中は抽象的な展示。暗い通路を通り、49本の柱が並ぶ庭園がありました。たくさんの写真家の写真が展示されていました。テーマは、日常生活・風景など。なんだかいまひとつピンときませんでした。
次に行ったのが、チェックポイントチャーリーの跡。ここは、東西分断時代の唯一の通路だったところですが、今では私有地らしく、壁の模型?と写真、見世物小屋がありました。
地下鉄でもう一軒目のおもちゃ屋(Wilde schwäne)へ。こちらは、あまり大きな店ではありませんでしたが、めざすグリムスの木のおもちゃを扱っていました。昼食はハンバーガー。とても肉がおいしいです。
時間が余ったので博物館島へ戻り、5つの博物館のうち、最後の一つ、旧ナショナルギャラリーに入りました。名前のイメージから、古い絵画だけを扱っていると思いきや、そうではありませんでした。ドイツ人作家の絵画が多数展示されているほか、印象派の作品を展示する部屋があり、そこには、モネ・セザンヌ・マネをはじめ印象派の主要な作家の作品が並んでいました。ロダンの彫刻もありました。セガンティーニも1枚ありました。
その後ウンターデンリンデンを経由して、宿に戻りました。
冬のベルリン・ヘルシンキの旅5 2020年1月31日
今日は、なかなか行く機会のない、ドイツ第2の都市である港町ハンブルグに行きました。ベルリンから、高速鉄道ICEで1時間40分ほどかかります。ちょうど、仙台から大宮の感じです。
まず、ベルリン中央駅に行きます。ここはとても大きな駅でとても入り組んでいます。フリードリッヒ通り駅からSバーンで一駅。立体的な構造の駅で、切符売り場を探すのも一苦労です。ようやく見つけ購入。2人往復で325.2ユーロでした。
定刻より3分遅れで発車。すぐに田園風景の中を走ります。早いところでは時速は228㎞/hでした。途中、風車が見られます。
3分遅れでハンブルグ中央駅。ツーリストインフォメーションを見つけて地図をもらい、にぎやかな通りを街に出ます。
ここハンブルグは、ニベアの発祥の地だとかで、湖のほとりにあるニベアハウスの買い物に付き合います。その後市庁舎へ。とても立派な建物です。前は、市場の広場。
次に、海の方へ行きます。運河をいくつも橋で渡っていくと、海の香りがしてきます。マリタイム博物館のわきを通り、姉妹都市大阪の名のついた通りOsakaalleeを歩き、旧倉庫群に向かいました。この辺りは、ハーフェンシティという、大規模な修復が行われた地域で、大学などもあります。旧倉庫では、お化け屋敷やミニチュアワンダーランドといったイベントが行われ、奇妙な形のエルプフィルハーモニーの建物などが建っています。遊覧船乗り場も並んでいます。海の見えるレストランで昼食。
町中をぶらぶら歩き、駅に向かいます。教会の廃墟わきを通り、400年以上たった古い建物を見ながら、市庁舎に戻りにぎやかな通りを歩きました。選挙が近いのか、ポスターが張られていました。
帰りの列車は、4時38分。ところがこれが大混雑で、指定席をとっていなかったことを後悔。ただ親切な人はいるもので、この先に席が空いていると教えてくれたので、何とか席にありつきベルリンに戻りました。金曜日の夕方だったのが混雑の原因だったのかもしれません。切符売り場でこちらも確認しなかったのも悪かったのですが、座席指定はどうするか聞いてくれてもよかったものを。
ベルリン中央駅に定刻の6時20分。列車を乗り継ぎ、7時半少し前に宿に戻りました。
冬のベルリン・ヘルシンキの旅6 2020年2月1日
ベルリンの滞在も今日で最後になりました。夕方5時50分のフライトでヘルシンキに戻ります。そのため、朝、荷物をまとめてチェックアウト、ホテルに荷物を預け、街歩きです。
今日はまず「ベルリンガイドブック」中村真人著のアドバイスに従って、カスタニエン大通りからコルヴィッツ広場周辺を歩きます。この途中に、ベルリンの壁公園とDDRの日常という展示があるからです。
地下鉄でローゼンターラー駅に行きここから歩き始めました。途中にシオン教会があります。ここは、旧東ドイツの末期に自由を求める反体制グループの活動の拠点となった教会だそうで、教会の周りにはその当時の写真と説明が飾られています。残念ながら中には入れませんでしたが、雰囲気を感じました。
次に訪れたのは、「壁公園」。Maouerparkというのが地元の名ですが、ベルリンの壁が百m以上に渡って残されています。とても乗り越えられる高さではありません。落書きがいっぱい。中にはとても上手なものもありました。
エバースヴァルダー駅を過ぎると、「DDRの日常博物館」ALLTAG der DDRという展示がある博物館。旧東ドイツ時代の日常生活がものと説明で展示されています。一番驚いたのは、国民車トラバンドの屋根にテントを取り付け、「キャンピングカー」にしたもの。映像を見ると、これがずらーっと並んでいます。貧しいながらのレジャーだったようです。働く女性たちの生活も表現されていました。
ここは、かつてのビール製造所の跡で、レンガの美しい建物です。この博物館のほかに、たくさんの文化施設が入っているようです。
コルヴィッツ通りにでると、道を仕切って市がたっていました。食料品や日用品を売る店がずらり。ちょうど土曜日なので行き会わせました。
その裏には、給水塔があります。「ふとっちょヘルマン」と言われているそうですが、ナチス時代にはこの地下が拷問室になっていたとのことです。
いろいろと歴史を感じさせる散歩となりました。この「ベルリンガイドブック」は、観光地だけでなく歩いて見える13のコースが載っている、いい本です。
これを歩いた後、地下鉄で移動し、シャルロッテンブルグ宮殿を見てきました。ポツダムにあるサンスーシー宮殿に比べると小さな宮殿ですが、中はさすがに立派なものです。ただ、雨が降っていたので、庭園の散歩は楽しめませんでした。
そうこうしているうちに時間となり、宿に戻って荷物を引き取り、タクシーでテーゲル空港に向かいました。暗くなった5時50分ベルリンを後にし、ヘルシンキに向かいました。ヘルシンキ着は時差の関係もあり8時45分。鉄道で中央駅に出て、宿に入ると夜10時になりました。昼間のフライトもあるので、特に冬の旅では、そちらの方がよかったと感じました。
冬のベルリン・ヘルシンキの旅7 2020年2月2日
昨夜遅くにヘルシンキに入ったので、朝はゆっくりめに活動開始。今日は、船でスオメンリンナ要塞に行きます。この要塞は、1748年に当時フィンランドを占領していたスウェーデン軍により建設され、1808年にスウェーデンがロシアに敗れロシア領となり、1918年フィンランド独立とともにフィンランドのものとなった、とのことです。
全島が要塞となり軍事上重要な役割を果たしてきましたが、1973年軍隊が撤退し1991年にはユネスコ世界遺産になったとのことでした。
マーケット広場から船で15分ほどで着きます。上陸すると、意外に広く感じました。中には教会、博物館、ホステル、潜水艦の展示などがあります。いくつかの島が橋で渡れるようになっています。いくつもカフェやレストランがあり、夏には一大観光地となっているようですが、今はあまり人はいません。特に今日は雨交じりの天気でしたので。
日本語のガイドブックが置かれていましたので、いろいろと分かりました。大きな2つの島を端から端まで歩いて1時間半くらい。岩づくりの建物や、大砲の跡など、軍事的役割を果たしてきたことがわかります。
12時20分の船で戻り、昼食の後にトラム2番と3番で街巡り。中心地は、意外とコンパクトなんだと感じました。街並みはとてもきれいです。
買い物を済ませていったん宿に戻りました。ちなみに、この国ではビールはスーパーで売っていますが、それよりアルコール度数の高い酒は、アルコ(Alko)という酒類専門店で売っています。これが日曜は休みになっていますので、普通のワインは買えません。スーパーに低アルコールワインというのが売られていました(5.5%)。この国ならではの製品ですね。
宿に戻り、しばし休んだのちに、買い物に出かけました。夕食を購入した後、宿の前のFazer(ファッツェル)という有名なチョコレート屋でコーヒーを飲み宿に戻りました。
冬のベルリン・ヘルシンキの旅8 2020年2月3日
いよいよ旅も最終日。今日は、チェックアウト後、宿に荷物を預けて町巡り、1時に宿に戻り鉄道で空港に行き、夕方4時20分の便で帰国の途につきます。
今日のコースは、歩いて、岩の教会~木の教会~かもめ食堂~マーケット広場で昼食、ということにしました。
北欧のデザインは有名ですが、それはこの国の教会のデザインも同じです。これまでの教会のイメージを根底から打ち砕く斬新なデザインの建物に出会います。それは、この国のキリスト教が新教=プロテスタントのシンプルな教会のせいかもしれません。ここヘルシンキにも斬新なデザインの教会があります。そのうち2つを回りました。
岩の教会:テンペリアウキオ教会は別名「ロックチャーチ」と呼ばれる岩の教会です。ここは前にも来たことがあるのですが、そのデザインの斬新さに驚きます。が、教会という祈りの場の雰囲気は保っているのです。
木の教会:カンピ礼拝堂は大きなショッピングセンターの脇にたたずんでいる、巨大な木の桶にような外観です。中に入ると、卵型の空間の壁は木に囲まれ、天井からの光が内部を照らしています。教会内は撮影禁止なのでここで見ることはできませんが、こちらもこれまでの教会のイメージとは全く異なる「祈りの場」らしい雰囲気を感じられます。2つとも、まさに北欧の自由なデザインの体現と言っていいかと思います。
映画「かもめ食堂」は、この町が舞台の作品ですが、そのロケ地がいくつもあります。特に、食堂の地はそのまま今も食堂になっています。ここを訪ねると、残念ながら冬休み。2月までお休みでしたが、映画の店の雰囲気がそのまま残っていました。
マーケット広場に戻ると、いくつかテントの売店が出ていました。ここで木彫りのコップ(Kuksaという)を購入。日本で買うと高いのですが安く手に入りました。そして船着き場にたたずむいい雰囲気の建物オールドマーケットホールの中にある、soup+moreというスープ屋さんで昼食。
ここから宿に戻ります。今回の旅で初めて青空の快晴の天気になりました。気が付いたのは、一番日が高いこの昼間に、太陽の高度の低いこと、影がまるで夕方のように伸びています。緯度が高いのでこのようになるのは頭で分かっていましたが、実感しました。もう少し北に行くと、夏は白夜、冬は太陽が出ない地域ですから。太陽もようやく地平線から顔を出していた、という感じです。
最後に快晴に恵まれて、この旅の終わりになりました。これからヘルシンキ空港に向かい、日本へのフライトで旅は終わりです。帰りのフライトは、ゆったりした席で、帰国できました。